縁側でぼーっと庭を眺めている幸村を壁に凭れかかりながら、じっと見つめていた。
幸村は何かする様子もないので少々不安に駆られる。
いつも絶え間なく喧しい幸村にとっては珍しい出来事で、サスケは嫌な予感しかしない。
ただたんにぼーっとしているだけか、それとも・・・何か余計な事を考えているか・・・。
昔から幸村の思いつきな行動には良かった試しが無いからだ。


いきなり、縁側から立ち上がってグルリとこちらに振り返る。

「サスケ!海に行こう!!」

「・・・はァ?」






君が教えてくれたこと。






こうして、幸村の思い付きでオレ達は海に行く事になった。
やっぱり、碌な考えを巡らせていたらしい・・・。 早速、小助に準備をさせている幸村は鼻歌混じりで布に袖を通している。
そんな幸村に深くため息を着いて理由を問いださす。こんな山奥に住んでいるのだから、海に行くには少々手間がかかる。たたの思い付きで行こう!なんて理由は認めたくない。

「なんでいきなり海になんか行くんだよ?」

「フフッ、何でしょう?」


オレの質問に質問で返してくる幸村に軽い苛立ちを覚えつつも、自分では自分の方が精神的には大人だと思っている手前、怒る事は出来ずにもう一度尋ねる。

「何か理由があるのか?」

「別に。・・ただ急に行きたくなっただけV」


・・・こいつは。
今、自分がどう言う状況に置かれてるか分かってるのか!?
徳川によって九度山に囚われの身なんだろうが!!


サスケが怒りで腹を煮ている時、小助が整理し終わった2人分の荷物を抱えてやってきた。

「幸村様、準備が出来ましたわ。」

「ありがとう、小助。出かけている間、身代わりお願いね。」

荷物を受けとりニッコリと微笑む幸村に小助は、頭を深々と下げてから顔を上げて幸村ソックリな顔で微笑み返す。

「お留守はお任せ下さいませ。」


これが本当の従者の姿なのだろうが、サスケは幸村を敬う事は全くしない。
だが、そんなサスケに幸村は咎める事なくむしろとても可愛がってくれている。

「さぁ、出発しようか?」

「・・ったくお前のわがままには付き合ってらんねぇよ。」


いつも遊んでばっかりで馬鹿でいつまで経っても、真田家跡取りって自覚がないうだつがあがんないヤツ。



・・・だけど、すっげぇ優しくて従者のオレにたくさんの幸せと自由をくれたヤツ・・・。
樹海出身のオレにとっては、こんな甘ちゃんなんかとやっていけるのか?なんて思った事もあったが、今では幸村の優しさが心地よくてしょうがない。

優し過ぎる馬鹿野郎だから、しっかりとして強いオレが一緒にいた方が安全だろ?



「サスケ・・・行ってくれないの?」

「ったく、お前をお守り出来るはオレしかいねぇだろッ!馬鹿!!」

ニカッと笑って見せたサスケは、幸村の胸に拳をぶつけた。

「あ、荷物は自分で持てよ?」

「・・・サスケ、ありがとう!さぁ、海に行こっか。」


ほっとしてはにかんで笑う幸村より先に家を飛び出す。

「ほら、ちんたらしてねーでさっさと行くぜ。」





君が教えてくれたこと・・・。
それは人を愛すこと。
信じること。
誰かを守りたいと思う、強い心―――


お前が側にいてくれるだけで、俺は強くなれる。
優しさをオレにくれたお前だから・・・。

この幸福の時間がずっと続きますように・・・








*********+*********



はぁい、後書きです。
キリ番5555HITをゲットした死音 深椰様へ捧げます。
本当に、遅くなってすいませんでした〜ッ!!!!

実はこれは、『海へ行こう!』って題名で海に行った事が無いサスケを海に連れていいてってあげる幸サス小説。になる予定でした。
がっ!、予定より話がずれてしまったので、また時間がありましたら続きで海に行ける様に繋げて置きました。
ちなみに、この後に『曼珠沙華』に続く様にもしてます(笑)
こう、昔書いた作品に繋げたりするのが、大好きなのです!!
楽しんで読んで下さると嬉しいです。
KYOはまだまだ続けていくつもりですので、宜しくお願いしますッ!!
それでは、また次の作品でお会いしましょう〜!!















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